パリに取り憑かれた男 荻須高徳

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銀座の画廊数社が集まり、刊行している銀座室礼ー。

『vol.10 2014年 冬号』の中から私のとても好きな作家、荻須高徳を紹介したいと思います。

銀座室礼_vol10_荻須高徳

「私は真っすぐが好きだ。」
1927年東京美術学校(現:東京藝術大学)を卒業した秋には
既に荻須はフランスのパリにいた。

それ以降、第二次世界大戦の一時期を除き、
生涯の大部分をパリで過ごした。

西洋絵画の伝統を裏付ける確かな技法と、
誠実な姿勢でパリの街角や建物を描き続けた。
パリにある世界遺産のうちの多くが人の手によって造られた聖堂や宮殿、庭園である。
そしてそれらの世界遺産はまっすぐな直線で形取られている。

今回ご紹介する作品も荻須の愛したパリの街角である。
大胆なタッチで幾何的に描かれたパリの直線の潔さを見て、
荻須の作品だと思わない人はいないだろう。
しかし、その大胆さの中にも空・屋根・壁・階段・地面に精巧な変化があり、
その繊細な精神が荻須らしさを感じさせてくれる。
幾何と繊細、パリと日本。
全てを知り尽くした荻須高徳にしか
描くことの出来ない唯一無二の世界と言っても過言ではないだろう。

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